八百祢です。
ハマケンさんが以下のようにツイートされていたので、今日はBRICS通貨について書いてみようと思います。
BRICS通貨
— ハマケン@山陰暴威 (@QYnzvat68D1UkXE) 2023年7月15日
8月22日から遂に開始、世界の通貨体制に大きな変化が!?
株価は?為替は?何がどーなるの?
(?_?)
BRICS通貨とは何かと言うと、中国、ロシアを中心とした新興国BRICSで新通貨構想というのがあり、これによって米ドルが崩壊するのではないかと最近話題になっています。
新聞などの大手メディアでも取り上げられていることもありますし、政治家の方でも注意した方がいいと言っている人たちもいます。
BRICS新通貨ですが、Goldを後ろ盾にする通貨(金本位制)になると言うことが報道されました。
新興国BRICSの国々には信用がないので、米ドルから離れるのであれば金本位制にするしか選択肢がないと言うのは明らかです。
BRICS新通貨構想の中心的な存在である中国は、自国通貨人民元において、米ドルとの管理相場制を採用している国です。
人民元を完全にアメリカと独立して変動相場制にして、お金の移動を自由にすると、人民元が暴落してしまったり、大きな資本の流出に見舞われてしまう可能性があるので、ドルとの変動を国が管理しているわけです。
中東の国などは、ドルペッグ制を採用している国もあります。
ペッグ制とは経済基盤の弱い国や政情不安の国などが通貨相場の安定を目的として、自国の通貨レートを経済的に関係の深い大国の通貨と連動させることを言い、世界的な基軸通貨である米ドルと連動させる場合を特にドルペッグ制と呼びます。
これらの国が発行する通貨はドルだったりGoldだったり、何らかの後ろ盾がないと信用がなさすぎてまともに機能しないので、ドルペッグ制にしたり管理相場制にしたりしているわけです。
米ドルから独立して新たな通貨を作るとなると、Goldを後ろ盾にするしかないわけです。
金本位制はGoldを後ろ盾にして通貨が発行されるので、通貨の発行量がGoldの保有量によって決まってきます。
つまり、Goldを後ろ盾にしたこのBRICS新通貨は、それほどたくさん発行されることはないと言うことを意味しています。
国際社会では1971年に金本位制が終わりを迎えました。
なぜ金本位制をやめたのかと言うと、経済が成長し通貨の発行量が徐々に増加して行くのに合わせて、金の保有量を増やして行くことができなくなったのが一つの要因となっています。
金本位制を廃止したことでアメリカでは通貨の発行量が急激に増えることになり、金融市場が急激に発展して行くことになりました。
BRICS新通貨が金本位制になるということは、BRICS諸国の経済が国際社会の50年前に遡ることを意味しています。
Goldを後ろ盾にした金本位制では金融市場の発展は期待できないので、おそらく引き続き米ドルへのアクセスを維持して行くことになると思われます。
そんなことはBRICS諸国もわかっているはずなので、Goldを後ろ盾にしたBRICS新通貨は、国際的な通貨にすると言うより、別な狙いがある可能性があります。
BRICSの中では経済的には圧倒的に中国の影響力が大きく、BRICS新通貨がどうなるかというのは、中国次第と言っても過言ではないでしょう。
インドも経済的には発展してきているものの、金融インフラの発展はまだまだですし、ブラジルやロシア、南アフリカなども金融システムの脆弱性が目立つことから、結局中国におまけがついたぐらいのイメージでしょう。
なのーで、この問題は中国を中心に見ていく必要があります。
中国人民元の基軸通貨化については、米ドルに対抗し得る機能を備えているかという点が重要になってきますが、前述したように管理相場制を採用しているので基軸通貨になることは難しいでしょう。
以上を鑑みるにBRICS新通貨が米ドルの脅威になるかというと、その可能性は極めて低いというのが現状です。
一方、世界で米ドル離れが起こっているのも事実です。
エネルギーの取引において、米ドル以外の通貨を使おうといった動きもかなり増えてきています。
アメリカから距離をおきたいと言った政治上の理由や、米ドルで取引をすることでアメリカに取引情報が流れることを回避したいといった思惑があるものとみられます。
アメリカと元々良い関係を築いていなかった国では、これまで以上にアメリカと距離を置きたいといった動きになっていると見受けられます。
こうした国々は米ドル以外の自分たちの通貨を作って、米ドルから離れてやっていきたいといった思惑があるでしょう。
国際社会において新興国のアメリカ離れが起こっていると言うのは事実で、これは重要な動きであるのは間違いありません。
ですがBRICS新通貨が米ドルの脅威になるかというとそれは現実的ではなく、エネルギーなどの一部の取引がアメリカに見えないように、米ドル以外の通貨で行われるようになるという程度の話ではないかと思っています。
以上の考察から、BRICS新通貨は米ドルに代わることはないと考えます。