八百祢です。
Youtubeの動画で興味深いshort動画を見たので、管理会社としての経験から記事にします。
※音が出ますので注意
動画の内容を大雑把に説明すると
1)カーペットにジュースをこぼした際にできたシミがある。
2)そのため追加清掃費を請求されている
3)借主は借りる際に支払った清掃費に含まれているので支払わないと主張
結論から言うと、この動画だけでは判断できませんってなるんですけど(´ω`)
ここは原状回復義務について説明していきましょう。
2020年4月1日に施行された改正民法では、「賃借人は賃借物を受け取った後に生じた損傷について、原状回復義務を負うが、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わない」と明記されました。
民法には原状回復の規定があります。
【改正民法621条】(賃借人の原状回復義務) 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた 賃借物の損耗並びに賃借物の経年の変化を除 く。 以下この条において同じ。)がある場合に おいて、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。
貸したものは借りた状態に戻して返しなさいよってことです。
ただし、
1)通常使用による経年劣化は家賃に含まれていると解釈される。
2)経年劣化については国交省のガイドラインで定められています → ガイドライン
国交省のガイドラインによれば、今回のケースでカーペットにジュースをこぼしたと言うのは、通常使用の範囲内と解釈できる記載があります。
別のHPでの判断では、
その後の手入れ不足等で生じたシミ・カビの除去は賃借人の負担により実施するのが妥当と考えられる。
との記載もありました。
これを「善良な管理者の注意義務(善管注意義務)」と言います。
今回のケースではジュースをこぼしたのは通常使用の範囲内であるが、その後に手入れをしたかどうかが争点になります。
手入れをしたのにシミが残った→貸主負担
手入れを怠ってシミが残った→借主負担(ただし経年劣化も考慮する)
動画ではその事実について何も言ってないので、前述したように「この動画だけでは判断できません」ってなります。
賃貸物件の退去は非常にトラブルが多いです。
借りる側が知識不足のため管理会社が不当な請求をしたのを見抜けない場合もありますので、退去の際は国交省のガイドラインを参考にしてください。
あと、知識のないインフルエンサー等が根拠のない発信をしている場合もあります。
間違った知識で強弁すると訴訟に発展するなど非常に危険ですので、国交省のガイドラインを必ず確認してください。
意外と多いのがタバコやペット飼育による汚損です。
タバコのヤニや臭い、ペットがつけた柱のキズ等は通常損耗・経年劣化に当たらないとされていますのでご注意ください。
※今回の記事は管理会社としての考えを法律に照らし合わせて書いたものになります。
Youtubeの投稿者を否定したり批判する意図はありません。